薫子様、一大事でございます！

そして、それがお団子だと知ると、二匹揃って北見さんの両隣に興味がないとばかりに丸まった。


「でも、まさか、あの吉池さんだったとはねぇ。ちょっと根暗な感じはしていたけど、付け回したりだとかするような男の子には見えなかったんだよねぇ。真面目に勉強していたみたいだし」


熱いお茶をすすりながら、芙美さんがしみじみと呟いた。


「昨日の夜遅くにね、引っ越しすることになりましたって報告に来たんだよ」

「そうでしたか」


有言実行。
意外と男らしい人なのかもしれない。


「ところがさ、そのことを麻紀ちゃんに話したら、引っ越さなくてもいいなんて言ってさ」

「え？」


これには、北見さんも私も目を見張った。


引っ越すという条件付きで、今までのことを水に流したのだから。