薫子様、一大事でございます!

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北見さんたちと入れ違いで事務所に訪問があったのは、ラストのみたらし団子をどうしようか迷っているときのことだった。


北見さんの分も残しておこうか。

いや、でも、甘いものは苦手みたいだし。


そんなことを考えながら、事務所のドアを開ける。


するとそこに立っていたのは、黒いスーツに身を包み、サングラスを掛けた体格のいい男性だった。


「こちらは二階堂探偵事務所ですか?」

「はい、そうですが……」

「ちょっと依頼したいことがありまして」

「そうですか。それでは中へどうぞ」


ドアを大きく開いて招き入れようとすると


「いえ、ここではちょっと……」


男性が拒んだ。


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