薫子様、一大事でございます!
それじゃ、北見さんにも連絡が取れない……。
「それじゃ、」
「ちょっと待って!」
出て行こうとするDCHをもう一度呼び止める。
「おやまぁ、そんなに僕と離れたくないのですか」
ふざけたことを言う。
そんなことがあるはずないのに。
「北見さんを知ってるんですか?」
「……北見? ……あぁ、涼夜のことですね」
ニヤリと口元が歪む。
「知りたければ、今夜僕の部屋へ来るがいい」
いやらしい目つきで笑うと、今度こそDCHはドアを閉めたのだった。