薫子様、一大事でございます!
ベッドから降り、窓から下を覗く。
すると、言っていた通り、DCHはさっき乗ってきた車に再び乗り込み、車は敷地内から出て行った。
逃げるなら今。
振り返り、ドアのところに立つ珠美さんの元へ駆け寄る。
「お願い! ここから出して!」
けれど、珠美さんは表情ひとつ変えることなく、首を横に振るばかり。
「申し訳ございませんが、ご要望にお応えすることはできかねます」
その一点張りだった。