薫子様、一大事でございます!
増えていく交換条件に動きが取れなくなっていく。
「話してくれないのであれば、どうぞお引き取りく――」
「待って! 話すわ」
うまいこと先導されたようで悔しかった。
「北見さんは、半年ほど前に拾いました」
「……拾った?」
「事務所の近くで怪我をして倒れていたのを見つけたんです」
DCHは目を細めた後
「あぁ、あの晩のことか」
顎に手を当てて唸った。
あの夜のことを知っているらしい。
もしかしたら、北見さんが怪我を負っていたのも、DCHが絡んでいるのかも。