薫子様、一大事でございます!
DCH――?
……それとも、珠美さん?
身体を強張らせると、そっと開いたドアから沙織さんが顔を覗かせた。
「沙織さん!」
思わず上げた声。
沙織さんは自分の唇に「しっ!」と人差し指を当てた。
「ちょっと、どうして電気も点けないのよ」
そう言いながら私に近づく。
ここへ入ることを珠美さんに咎められなかったのかな。
出ることも叶わずにいる私と正反対に、すんなりと入ってきた沙織さん。
身を潜めるようにしてはいたけれど。