薫子様、一大事でございます!
「それじゃ、無理矢理ここへ?」
「……はい」
「もうっ! アイツって本当にしょうがない男なんだから!」
沙織さんが拳を握り締めてソファを叩く。
「容姿だけならまだしも、中身も腐ってるんだから!」
頷きたい気持ちを必死に堪えた。
「お父様から、」
言いかけて、沙織さんが「あ、常盤ハウジングの社長ね」と付け加える。
「大介さんの動きが心配だから、様子をちょくちょく見に行くように頼まれてたんだけど、まさか薫子さんを軟禁していたなんてね。来てみてよかったわ」
沙織さんはしみじみと呟いた。