薫子様、一大事でございます!
「もしかして、涼夜さんのこと好きになっちゃった?」
――!!
顔の温度が一気に急上昇。
部屋が暗いおかげで、沙織さんに感づかれずに済みそうだけれど……。
沙織さんが私の顔を覗き込む。
「当たり?」
「ち、違います! そんなんじゃありません!」
「否定の仕方がますます怪しいわ」
目を細めて私を見るから、これ以上どうしたらいいのか分からなくて、ぐっと言葉を堪える。
「ま、大介さんと違ってイイ男だしねぇ。男に免疫のない薫子さんなら、好きになっちゃうわよね」
ふふふと微笑んだまま、沙織さんは部屋を出て行った。