薫子様、一大事でございます!
「これが何の写真か分かるよね?」
胸元のポケットから1枚の写真を取り出した。
それを私の目の前にかざす。
――え!?
どうしてこんな写真を!?
「いやぁ、探すのに随分と手間取ったんだけどね」
DCHから写真を奪い取ろうと伸ばした手は空を切った。
DCHが即座に手を後ろへ引いたのだ。
「薫子さんの大事なお父様とお母様、それから滝山さんだっけ? 彼らがどうなってもいいのかな」
「そんなっ……」
その写真は、3人が畑で農作業をしている姿だったのだ。
滝山も写っているということは、ごく最近撮られたものだということ。
ということは、ここ1週間のうちに所在を見つけたということに違いなかった。
「僕の言うことを聞けるよね?」
拒否は受け付けない。
そんな言い方だった。