薫子様、一大事でございます!
「この写真のこと、忘れたの?」
不吉な笑みとともに、写真を胸元でちらつかせる。
私に選択権はないと言っているようだった。
もしかしたら私には、この道しか残されていないのかもしれない。
DCHと人生を共にするという以外に、最初からなかったのかも。
そんなことすら思えてきた。
逃げても逃げても、DCHの魔の手から逃れられなくて。
それはそういうことなのかも。
「さぁ、座って、薫子さん」
もう振り払う気力さえなくなったDCHの手が肩に回される。
言われるままに腰を下ろしたのは、“私たちの寝室”だとDCHがいう部屋に置かれた大きなベッドだった。