薫子様、一大事でございます!

「薫子さんは、僕と結婚することが一番幸せなんだよ」


……私の幸せ云々じゃない。


みんながそれで幸せなら。


そうだというのなら、私はこの人と……。


「もう逃げないでくれるよね?」


DCHが俯いた私の顔を覗き込む。


「薫子さんの口から聞かせて。僕と結婚すると」


いろんなことが蘇った。


ここで家族みんなで暮らしていたときのことはもちろん、二階堂探偵事務所を開いてからのことも。


滝山がいて、芙美さんがいて……北見さんがいてくれた。


一緒にバイクに乗ったことも、花火をした夜のことも。

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