薫子様、一大事でございます!
ビリビリに破けたドレスでは、驚いて当然。
「あ、これは……」
「バイクに乗せられないから、思い切って切りました」
北見さんが代わりに答えた。
「センス悪いし、全然問題ありません」
まだ言ってる。
「薫子ちゃん、北見さんはね、そういう露出系の服を薫子ちゃんに着せたくないんだよ」
「ふ、芙美さん、何言ってるんですか」
北見さんが芙美さんの口を封じにかかる。
「だってそうだろう? 麻紀ちゃんの店に同行するときだって、胸元が大きく開いたワンピースを見て、露骨に嫌そうな顔をしてたじゃないか。つまり、それは――」
「芙美さん、観たがっていたドラマが終わっちゃうんじゃなかったでしたっけ?」