薫子様、一大事でございます!
「あぁ、沙織さんか。……どうして彼女が?」
「あの家に連れ込まれたときに会ったんです。北見さんのことは沙織さんから聞きました。沙織さんのお母様も愛人だったって」
「……そうか」
北見さんは小さく頷いた。
「私が恋人の代行をしたときに、早川さんの友人の彼女として来たのが沙織さんだって、北見さんは気づかなかったですか?」
「――え!?」
驚いて目を見張る。
その様子だと、全然気づかなかったということだ。
「……実は、沙織さんと会ったことがあるのは2,3回くらいで。正直、顔を覚えている自信はないんだ……。そうだったのか、あのときに……」
「初めて会ったときに北見さんが怪我をしていたのは、DCHとのトラブルだったんですか?」
「……ああ」