薫子様、一大事でございます!
でも、それは報われない想い。
「カコちゃん?」
……たとえそうだとしても。
初めて芽生えたこの大切な想いは、きちんと伝えたい。
そうじゃなくちゃ、また同じことの繰り返しになってしまう。
意思を持たない女には、もうなりたくない。
「私は、」
それでも、北見さんに向き合って伝える勇気はなくて。
シンクに向かったまま口を開く。
「……北見さんと一緒にいたいです」
「それは、この事務所が困るから?」
「ち、違います」