薫子様、一大事でございます!
「カコちゃんがここから消えたとき、俺がどれだけ心配したか分からないだろ」
「……心配してくれたんですか?」
「最初は、ちょっとコンビニにでも行ってるんだろうと思ったんだけどね。夜になっても戻らないし、携帯は繋がらないし」
「春日さんが事務所を訪れて、ここじゃ話せないからって連れ出されて……」
北見さんが私を引きはがす。
「それにのこのこ着いて行ったのか?」
コクンと頷いた。
また呆れられるだろうという私の予感は、見事に的中。
「だから言っただろう? カコちゃんは人を信用しすぎるって」
「はい……」
「まったく、ほんと放っておけないヤツだ」