薫子様、一大事でございます!
「こんにちは」
半ば強引に事務所内へニコニコしながら入る。
驚いたモモとクロはソファから飛び降りて、陰から沙織さんの様子を警戒心たっぷりに窺った。
「薫子さんが探偵事務所をやっているって本当だったんだ」
ファーのコートをなびかせてソファに腰を掛けると、足を組んで私にニッコリ微笑んだ。
「DC……だ、大介さんに聞いたんですか?」
「涼夜さんよ」
「――北見さんに会ったんですか!?」
思わずすがりつく。
「ええ」
「北見さんは元気ですか? 大丈夫ですか? 今どうしてるんですか!?」
「そんなに矢継ぎ早に質問しないで」
クスクスと笑う。