薫子様、一大事でございます!
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「モモ、クロ、ご飯よ」
私の一声でみゃあと鳴きながら二匹が擦り寄る。
なんとなくのんびりと過ぎていく時間。
高いビルに囲まれたこの事務所の中にも、穏やかな冬の午後の日差しが射し込んでいた。
「薫子様! 一大事でございます!」
久々に聞く滝山の口癖に、モモとクロの耳がピンとなる。
下でバイクの手入れをしていたはずの滝山は、鼻の頭を黒くさせたまま事務所へ飛び込んできたのだった。
「テレビテレビ……」
ブツブツと言いながら、リモコンを探す。