薫子様、一大事でございます!

呆然とする中、画面は次のニュースへと切り替わった。


「このお方が、北見さんと異母兄妹の沙織さんでございますよね?」

「……ええ」

「例のDCHが社長にならないのは分かるとして、どうして北見さんでないのでしょうか……」


滝山も同じ疑問を抱いたようだった。


だって、北見さんはそのためにここを去ったはずだから。

滝山に私を託して、常盤ハウジングの社長としての人生を選んだはずだから。


それが、どうして沙織さんなの……?


滝山も私も、別のニュースに切り替わったテレビを見たまま、身動きができずにいた。



――カチャリ



不意に聞こえたドアが開かれる音。


滝山と揃って振り返ると同時に――

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