薫子様、一大事でございます!

「みゃあ」


ふと、すぐそばでモモとクロがじっと見ていることに気づいて、意味もなく恥ずかしくなる。


二匹も、北見さんが帰ってきたことが嬉しいのだろうけど……。


「おい、モモ、クロ、邪魔しないでくれ」


シッシとばかりに手で払う。

その仕草に、二匹は恨めしそうに「にゃあ」と泣き声を上げると、デスクの陰へと身を隠したのだった。


「そうだ、忘れるところだった」


パッと私から北見さんが離れる。


そして、ドアの近くに置いた荷物を取って戻った。


「……それ、何ですか?」


スーパーの袋のように見えるけれど。

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