薫子様、一大事でございます!
「ジャガイモに人参に玉葱。それから鶏肉だ。カレーの材料」
「はい?」
「カレーを作るって約束、引き伸ばしになっていただろ?」
そんな……
それを今持ち出さなくても。
「カレーくらい作れなくてどうする。心配するな。銀さんみたいに一から作れと言っているわけじゃない。ルーは買ったぞ」
袋の中からカレーのルーを取り出して、ニヤリと笑う。
「……嫁のもらい手がなくなるって言いたいんですよね?」
北見さんは私の言葉に目を瞬かせながら
「まぁ、それは俺が面倒をみてやらなくも……ない」
意味深な発言をした。