薫子様、一大事でございます!

プラス一人と二匹



「薫子様! 薫子様!」


ドンドンドンというドアを叩く音と共に滝山の声が響いたのは、明けていく夜が少しずつ気配を消しつつある早朝のことだった。


薄目で見たカーテンが、まだ微力な太陽の光にほんのり照らされていた。


「薫子様! 一大事でございます!」


布団の中でモゾモゾと身体を動かし、何度目かの滝山の決まり文句でようやくベッドから抜け出る。


鍵を開けると同時に、滝山が玄関のドアを外から開いた。


そこには、たった今、警備員の仕事から帰ったという格好の滝山が大きな目を更に見開いて立っていたのだった。


「何事なの?」


まだくっつきそうな瞼をゴシゴシとこすりながら聞く。

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