薫子様、一大事でございます!
「“いいんですか?”って、薫子様がお願いしたんじゃありませんか」
滝山が横からちゃちゃを入れる。
睨んだつもりはないけれど、チラっと投げた視線に、滝山は恐縮したように身を縮めた。
「あなたならモモを大切にしてくれると思います」
「ありがとうございます!」
思わず、床に頭がついてしまいそうなほどに頭を下げた。
「モモを宜しくお願いしますね。これ、私の連絡先です」
バッグから取り出した名刺を私に差し出した。
「たまにモモの近況とかを教えてくださると嬉しいです」
「お任せください!」
高崎さんは、何度も名残惜しそうにモモと抱擁を交わし、事務所を後にした。