薫子様、一大事でございます!
「随分と思い切ったことをしたな、カコちゃん」
私たちの様子を事務所の隅から眺めていた北見さんが、そこで初めて口を開いた。
思い切ったこと。
……だよね。
でも、そうする以外になかったから。
「芙美さん、許してくれるかな……」
私たちだけじゃなく、勝手にペットまで。
「私が何だって?」
なんていうタイミング。
芙美さんが事務所のドアを開けて入って来たのだった。
「おや、まぁ。これ、例の猫じゃないのかい?」
「そうなんです」
「やっと見つけられたんだね。よかったよかった」