薫子様、一大事でございます!
モモの身体をガシガシと撫でる。
そのあまりの力強さに、モモは北見さんへと逃げたのだった。
「芙美さん、この猫たち、ここに置いてもいいでしょうか?」
「猫“たち”?」
事務所内を見回した芙美さんは、もう一匹の黒猫を見つけて目を丸くした。
「一匹が二匹になって戻って来たのかい」
「実は……」
たった今の経緯を話すと、やはりというか、芙美さんは快く了承してくれたのだった。
「何にせよ、初めての依頼達成、おめでとう。これからお祝いでもしようか」
「ちょっと待ってください、芙美さん、」
「どうしたんだい、薫子ちゃん」
「その前に、もう一つ……」