薫子様、一大事でございます!

モモの身体をガシガシと撫でる。

そのあまりの力強さに、モモは北見さんへと逃げたのだった。


「芙美さん、この猫たち、ここに置いてもいいでしょうか?」

「猫“たち”?」


事務所内を見回した芙美さんは、もう一匹の黒猫を見つけて目を丸くした。


「一匹が二匹になって戻って来たのかい」

「実は……」


たった今の経緯を話すと、やはりというか、芙美さんは快く了承してくれたのだった。


「何にせよ、初めての依頼達成、おめでとう。これからお祝いでもしようか」

「ちょっと待ってください、芙美さん、」

「どうしたんだい、薫子ちゃん」

「その前に、もう一つ……」

< 76 / 531 >

この作品をシェア

pagetop