薫子様、一大事でございます!
北見さんに向き直った。
「北見さんにもお願いがあるんです」
急に話を振られた北見さんは、何事かと体勢を立て直した。
「行かないでください」
「へ?」
「身体の方、もう良くなったんですよね?」
「……まぁ、そうだね」
「そろそろここを出て行こうかと考えていませんでしたか?」
「…………」
黙り込む北見さん。
やっぱりそうだったんだ。
ジョギングできるほどに回復していれば、自分の場所に戻ろうと思って当然。
でも……