薫子様、一大事でございます!

「そうですよ、薫子様。私もとうとう薫子様が!? と愕然としましたよ。しかも、私じゃ頼りないような言い方までされるとは」

「薫子ちゃんが北見さんに惚れたのかとビックリしちまったじゃないかい」

「ち、違うんです。えっと、その……」


もう何を言ったらいいのかすら分からなくなってしまった。


そんな私に助け舟でも出したつもりなのか、モモが足元でミャアと鳴く。

3人の視線を誤魔化すためだけにモモを抱き上げた。


「それで、北見さんは本当に出て行くつもりだったのかい?」


私の代わりに、芙美さんが進行役を担ってくれた。


「……そうですね、そろそろとは考えていました」

「それで、薫子ちゃんのお願いを聞いて、どう思ったんだい? 決意は変わらず?」


顔を上げて北見さんを見ると、そこでバッチリ視線が合ってしまった。

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