薫子様、一大事でございます!
何かを探るように見つめる瞳。
それが、今までにないほどに優しい眼差しで。
恥ずかしさからなのか、鼓動が速く刻まれていく。
どうしたらいいのか分からなくて、ゆっくりと瞬きを繰り返す。
目を逸らそうにも、それすらできないでいた。
「俺だって、探偵の真似事なんてやったことはないぞ?」
「はい。でも、少なくとも、私たちよりは出来るんじゃないかと……」
……お願い、北見さん。
念じるように見つめる。
「分かったよ」
北見さんが笑う。
「ここに残ることにした」