薫子様、一大事でございます!
「本当ですか!?」
モモを抱えていたことを忘れて、思わず万歳とばかりに両手を挙げる。
肝心のモモは、そんな私の失態にもスマートに着地して、北見さんの元へ悠然と歩いていった。
「私としても嬉しゅうございます」
「それじゃ、依頼完遂と二階堂探偵事務所の前途を祝して乾杯といきますか?」
芙美さんが冷蔵庫を漁りに行く。
「おやまぁ、ここにはビールもないんだね」
空っぽ同然の冷蔵庫を見て、芙美さんが腰に手を当てる。
やれやれといった風だ。
「ごめんなさい、芙美さん」
「それでは、熱いお茶とコーヒーで乾杯しますかな?」