薫子様、一大事でございます!
「だって、黒いですから」
「それなら、普通はクロとか付けるだろ」
「……そうですか?」
それじゃ私、普通じゃないのかしら。
滝山が私のことを世間知らずだと言うのは、そういうところも含んでるのかしら。
でも、クロじゃ、芸がなさすぎる気がするんだけれど……。
「黒いってことなら、カラスだって黒いぞ?」
「カラスは怖いですし」
「クマだって似たようなもんだろ」
「クマは可愛いですよ?」
「可愛いのは、有名な某キャラクターくらいだ」
「そんなことはありません。クマは可愛いです」
「それは差別というものだ」
「差別? そんなつもりは全くないんですけど……」