薫子様、一大事でございます!

アスファルトとタイヤが擦れる音に振り返ると、それはバイクに乗った滝山だった。

ヘルメットを脱いで、ギョッという顔をする。


「薫子様、一体どうしたのですか!?」

「芙美さんからお野菜をいただいたの」

「そんなに大きな箱を薫子様がお一人で運ぶなんて無茶です」


そそくさとバイクから降り立ち、私から箱を奪い取った。

と同時に、「うっ」という低い呻き声を漏らす。


滝山でも重かったらしい。


「北見さんにお願いすればよかったものを」


よいしょという掛け声でもう一度持ち直す。


「何だか忙しそうだったから」


芙美さんから連絡をもらって事務所を出るときに、何か調べものでもしているのか、北見さんは真面目な顔をしてパソコンに向かい合っていたのだった。

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