薫子様、一大事でございます!

それに、こんなにたくさんの頂き物をするとは、私も思ってもいなかったし。



「では、参りましょうか」

「それじゃ、私がバイクを押していくわ」


ハンドルに手を掛けて力を入れる。


……あら?
びくともしない。


「薫子様には無理でございますよ」

「そんなことはないわ」


――えいっ!


息を吸って、力任せにもう一度押してみる。


……あらら?


やっぱり動かない。

まるで接着剤でアスファルトとくっついてしまったみたいだ。

< 97 / 531 >

この作品をシェア

pagetop