トリックオアトリート
すると、パチっと白い男と目が合ってしまった。
慌てて逸らそうとしたけどもう遅くて、カツカツとヒールの音を響かせて近付いてきた。
(何この人……ちょっと怖い。)
リラがそう思ってるなんて知らずにリラの肩をガシッとつかんだ白の男。
もとい、ホランは目を輝かせた。
「あなたがリラ様ですか!?お待ちしてました!
私の名前はホランです!以後お見知りおきを」
初対面のリラに対し丁寧すぎる程のお辞儀をしたホラン。
リラの頭の中にはハテナが沢山浮かんだが、一先ず置いといて気持ち悪い程目を輝かせるホランに綺麗な回し蹴り。
それを無情に見下す者1人、腹を抱えて笑う者1人。
自身が決めた回し蹴りで気絶したホランを他所にライルに一声掛けて足を進めるリラはふと、足を止めた。
「ライル、父様の元へ案内しろ。」
再び歩み始めた。
隣を歩くライルはリラの前に出ぬよう注意を払い、向かいから歩いてくるメイドや執事は頭を下げた。