トリックオアトリート
黒猫との再会を終えて暫くして、リラとライルは大きな扉の中に通さた。
扉の中は思っていた以上に大きく、使用人でナイトのライルも驚いた。
「お待たせ致しましたリラ様。こちらへどうぞ」
何処かへ行っていた黒猫はリラのみを呼び一番奥のこれまた大きな部屋へ通した。
ライルに向けられる黒猫の瞳は未だに鋭い。
まるで、クズ虫を見るように。
ライル自身もこうなることは予想していた。
王族はナイトを疎ましく思い、同時に自身の手足にしか捉えていないことを知っていたからだ。
だが、今更自分の決めた道を変えるつもりは無い。
リラについて来いと言われた。
リラに隣で見ていろと言われた。
あの時、ライルの中でのリラは主になったのだから。
元は現王・咒无に忠誠を誓っていた。
だが、今はリラに忠誠を誓った。
どんなに辛く当たられても、リラ様の標であれるように。
リラが薄汚い大人達に揉まれて孤独にならないように。