トリックオアトリート
魔界or人間界どちらを選ぶ?
一人の男の子が部屋の中で鎖に繋がれていた。
「…な……か…お前なんか!」
ドンッ
大きな音を立てて男の子は頭から角にぶつかってしまった。
それを気にする様子も無く頬を涙で染めてただただ「お前なんか、お前なんか」と呟く少年。
至るところに痣を作った男の子が小さく声を漏らし、止むことのない暴力に耐える。
どうして少年が男の子を殴るのか、その理由を知ってるからこそ男の子はやり返さない。
少年の暴力はそのまま夕方まで続き、その間男の子は涙を流す事も大きな声を出す事もなかった。
夕陽が沈んだ頃、気がすんだのか少年は部屋から去っていった。
男の子は殴られ続けたのに何事もなかったかのように笑い始めた。
「あーあ、またか、」
そして、ガチャリとカギを開ける音がした。
その音に多少驚きつつ何の反応も見せない男の子。
入ってきたのはさっきの少年ではなかった。
男の子の親でもなく顔も見たことない名前も知らない黄色で身を纏う不思議な青年。
?「やぁ、リラ」
リラ「だれ?名前、なんで」
男の子は驚いた。
誰にも明かしていない自分の名前を呼ばれたから。
男の子の名前はリラではなく雄飛。
リラ。その名で呼ばれたのは産まれてから数える程しかない。
ライル「僕の名前はライル。君はこのままでいいの?逃げようと思えば逃げられる。
君が望むのなら、僕が君の手助けをしてあげるよ?」
雄飛「......」
いきなりのことで頭のついていかない雄飛をよそにライルは坦々と話を続ける。
ライル「君が望めば何だって出来る。僕と一緒に君の望むままの世界を作らない?まぁ、今すぐに答えを決められても困るんだけどね。」
リラ「.....あぁ」
ライル「いつもの雄飛に戻ったら?」
リラ「お前が帰れば戻るよ」
ライル「あ、そ」