トリックオアトリート
多分玉座につけば態度も変わるだろう。
リラは単純にそう思っていた。
目を輝かせてリラの白黒の羽を見ているライルをチラッと盗み見て小さく溜息を吐いた。
ライル「もうすぐ着くよ〜」
どこか間の抜けたライルの言葉に緊張の文字は見えない。流石と言えば流石か
クスッと笑ったリラをライルは見ていた。
それと同時に目を大きく見開いて嬉しそうに口角を上げた。
それからは二人の間に沈黙が走ってバサッバサッ、と羽が風を切る音だけが真っ暗な空に響いた。
リラ「おい、あの黒いのはなんだ?」
リラに声を掛けられたライルはリラの目線をたどった。
そこには、空を飛ぶライル達に手を伸ばす有象無象の黒い塊カタマリ。
ライル「あぁ、アレはハロウィンの夜、リラがこっちに寄越した奴らの塊の形だよ」
チラッと見たライルは目線を前に戻して答えた。
まるで、視界に入れる事を拒むように。
リラも何かを悟ったのかそれ以上何も言わなかった。