トリックオアトリート
「とっうっちゃーく!」
元気(?)に両手を上げるライルとは逆にポケットに手を入れて着地するリラ。
大きく息を吸うライルを横目にリラは耳を閉ざした。
リラの特技とも言える予知能力は真横から鼓膜を壊すほどの大きな音がすると見えたからだ。
リラの予感は当たったようで大声で誰かを呼ぶ声が真横から聞こえた。
(黙れ喋るな息するな。
あわよくば窒息死してしまえ)
心の中でリラがこんなことを思っているなんて大声で誰かを呼び続けているライルは知らない
ライルの大声が届いたのかドドドドド、と獣が走るような音が聞こえ身構えるリラ。
ライルは今だのほほんとしていて3つある大きな扉の真ん中を見つめていた。
バンっと大きな音を立てて開いた真ん中の扉。
そこには白と赤に包まれたライルと似たような格好の男。
扉を開けた時、男は息切れしていた。
飛んだら楽なのになぁ。
そう思いながらぼーっと見ていた。