弟、時々恋、のち狼
「やめろって!
わかったから……ひっぱるなよ!!」
な……何……?
アタシを掴む手からパッと力が抜けて、かわりに、必死で頭の上の何かを捕まえようとあがく。
虫?
それとも鳥、とか?
まだ固まったまま動けずにいるアタシをよそに、彼は無事にその「何か」を捕まえたらしい。
キッ
甲高い鳴き声が聞こえたかと思ったら、両方の手の平でくるんだそれを、アタシの方に差し出した。
「ったく……。
まぁ、コイツの言うとおりかもしれないな。
覚えてなくて当然、だよね」
そうさらりと言う顔は、つい数瞬前とはまた、コロリとかわっている。
怒りは影もかたちもなくなって、浮かんでいるのは、最初に見た明るく人好きのする表情だ。
「今はこんな姿になってるけどさ。
ラッラだよ」
柔らかい笑みを浮かべて、そっと拳を開いた。
わかったから……ひっぱるなよ!!」
な……何……?
アタシを掴む手からパッと力が抜けて、かわりに、必死で頭の上の何かを捕まえようとあがく。
虫?
それとも鳥、とか?
まだ固まったまま動けずにいるアタシをよそに、彼は無事にその「何か」を捕まえたらしい。
キッ
甲高い鳴き声が聞こえたかと思ったら、両方の手の平でくるんだそれを、アタシの方に差し出した。
「ったく……。
まぁ、コイツの言うとおりかもしれないな。
覚えてなくて当然、だよね」
そうさらりと言う顔は、つい数瞬前とはまた、コロリとかわっている。
怒りは影もかたちもなくなって、浮かんでいるのは、最初に見た明るく人好きのする表情だ。
「今はこんな姿になってるけどさ。
ラッラだよ」
柔らかい笑みを浮かべて、そっと拳を開いた。