弟、時々恋、のち狼
変なヒトだと思った。初めて会った時。
怖い、とも思った。
でも、いつだって心は浮き立っていた。
その言葉に。
笑顔に。
行動に。
その、すべてに。
いつの間にか、アタシの心は支配されてる。
ーーロウが、好き。
ミイは、きっと……こんなことは思わない。
ーーロウに自分を好きになって欲しい。
だから。
アタシはミイではないのかもしれない。
それでも。
ぬくもりにすっかり舞い上がった幸せな気持ちが、心苦しさを隅に押しやる。
「先、生……。
……ロウ……?」
「しっ」
なんと呼べばイイか迷いながら出した声は、鋭く制された。