弟、時々恋、のち狼
「じゃあ、一人ずつ挨拶をしてください」


結局今日はアタシを含め、全部で3人の新入部員が入ったらしい。
音楽室にずらりと並んだ上級生の前に立つのは、かなり勇気の要ることだった。


「えっと……瀧川美風です……経験はありませんが……楽器を吹けることに、あこがれて、ました。
……えっと……一生懸命頑張ります。よろしくお願いします」


後ろの壁に寄りかかったロウが一緒にこちらを見ているから、なおのこと、恥ずかしい。
覚悟して考えておいたセリフも、たどたどしかったりやけに早くなったりしてしまった。

跳ね上がった心拍数は、用意されたイスに座ってもまだ落ち着かない。


「はい。では最後にわたしから。
顧問の白羽です。よろしく。
うちの部はご覧の通り少数精鋭で……」


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