弟、時々恋、のち狼
できることなら、アタシももう少し、歩きながらおしゃべりしたい。


「梅ヶ丘公園の向こう……」


でも、アタシたちの家の方向は全然違っていた。
首をわずかに曲げ、残念な気持ちを込めて言う。

クラスのカナちゃんたちとも仲良くなれたけど、キミちゃんといるとそれ以上に気持ちが楽だった。


「そっか……」


はぁ、と大きなため息をついてくれる。


「ま、明日またいっぱい話そうね?」


校門までの短い距離をゆっくり歩き、アタシたちは笑顔で別れた。


時計はもうすぐ5時半を指す。


ママには、今日から部活で遅くなると言ってあった。


……さて、と。


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