弟、時々恋、のち狼
いったい……このヒト、なんなんだろう……。


一度あの恐ろしさを感じてしまった以上、いくらこの王子様スマイルが魅力的でも、もう、素直に受け入れることはできない。
どちらかというと、だからこそ心底怖い、のだ。

うかつなことは、絶対に言えない。


「…………わぁ!!
かわいいっ」


気持ちを引き締め、少しずつ離れようとした、その矢先。
開かれた手の上にちょこんと乗った生き物が目に入った。

警戒心を一気に吹き飛ばす愛らしさ。

彼の瞳の色に似た、ふわふわの、子猫。

生まれたてのような小ささなのに、その体に弱々しいところはちっともない。


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