弟、時々恋、のち狼
ダメっ!!

コンビニを出て、前を歩くカップルの後ろ姿に見入る自分を叱責する。

手をつないだ二人。
端から見ていても、空気が甘やに感じられる。


アタシはこの見た目でこの性格だから、男の子と手をつないだことなんて、幼稚園の遠足以来ナイ。
でも、心の底では、いつかは……なんて思ってた。
いつか、成長すればスタイルのイイ美人になって、アタシだけの王子サマが現れる、なんて。


はぁ。


ため息がもれる。

ホントに、アタシでイイのかな……。

それとも……からかわれてるのかもしれない。


こんなアタシが、ロウと……なんて。このうえなく幸せだけれど、自分でも、信じ難い。

あんな、本物の王子サマ……。


「ミイ」


すっ……と、夕闇の中から腕が伸びてきてアタシの肩を抱いた。
突然のことに驚きはしたものの、それが誰かは確かめなくったってわかる。


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