弟、時々恋、のち狼
「何?」


慌てて走って追いつくと、冷たい瞳がアタシを刺した。


「離れて歩こうって言ったのはそっちだろ」


そう、なんだけど……。


「一緒に歩きたくないんだろ?」


「そんなことない」


許されるなら、一緒に歩きたい。

許されるなら。


「……一緒に……歩きたい……」


恋人のように。


「ふぅん?」


いまさら?
ホントに?

意地悪な言い方。

そしてまた、歩き出す。
また、背中が小さくなっていく。


「ごめんなさいっ!!」


大声が出た。

どうしよう。あんなこと、言わなきゃ良かった。

アタシは、ロウを心配しているつもりで、ロウの言う通り、自分の身を案じていたのかもしれない。
きっと、それを見透かされたんだ。

嫌われた、かも、しれない。


「ごめんなさい……ごめ、な……さい……」


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