弟、時々恋、のち狼
「ラッラちゃん?」


まさか、アタシを助けてくれたものの正体が、こんなに可愛らしい子猫だったなんて。

じっと見上げる背中を、左手でそっとなでてみる。
見たままの柔らかい毛並みが、なんとも言えず、気持ちイイ。

首筋をかるくひっぱるようになでてやると、子猫はうっとりと目を細めた。


「このカンジですわぁ」


………………え?


ふいに、鈴を鳴らすような仄かな声が聞こえた。

思わずあたりを見回すけれど、アタシたちのほかは、誰もいない。


気のせい、かな。


「ロゥはオトメゴコロにウトいですから……やっぱりミィのテがイチバンキモチいいですぅ」


甘ったるくて、たどたどしい喋り方。
小さな子か、じゃなきゃサブカル的な何か。


「あぁんもぅっ……そのシッポまでゆっくりなでるの、サイコーですぅ」


…………ん?


気のせいじゃあ、ない?

……ってか、シッポ?


…………あるわけ、ナイよね?

は、ははは……。
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