弟、時々恋、のち狼
「気ぃ遣わなくてイイのに。
ラッラ、床で食べなさい」


まだ丸まっていた子猫とチーズを床に下ろし、ロウは、アタシの隣に腰かける。

うわぁ……。

さっきまで手だってつないでいたというのに、隙間10cmの距離に緊張する。
横なんて、向けない。


「ミイはさぁ」


だから、コーヒーを飲みながらロウが話しをふってきた時、アタシの声は情けないぐらい裏返ってしまった。


「はいぃっ!?」


「あははは。
嬉しいなぁ」


愛しげに笑って、ロウは真っ赤になったアタシの頭をくしゃっとなでる。
何かを話しかけていたはずなのに、そちらはもう気にしていないようだ。


--続きはあとで……。


こういう時に限って、今思い出さなくたってイイ言葉を意識してしまう。
緊張なのか期待なのか……心臓が爆発しそうだ。


「まさかホントにミイと出会えるなんて思ってなかったよ」


前世なんて信じてなかったし。
もし仮にそうだったとして、同じ国の同じ時代に生きてるなんて奇跡的なこと、あるわけないと思ってたし。


「入学式の日だったな」


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