弟、時々恋、のち狼
ゆっくりと、手の先の子猫を見る。
心地良さそうに細められた目が薄く開き、にっこりと、笑った。
「またおアいできてカンゲキですぅ」
「ひっ」
驚きというか、恐怖というか。
アタシは反射的に手をひっこめた。
「やーん」
鳴き声としては多少不自然な音を出して、バランスを崩した子猫が宙に投げ出される。
あっ!
しまった!!
けれど、ベチッっと落ちるかと目を覆った矢先、ラッラは器用に体を捻ると、軽やかにアスファルトに着地した。
「もぅ!」
そして、そのまま青年の肩へと駆け上がる。
「ごめっ」
子猫ちゃんを投げ出すつもりなんて、なかったのだけれど……得体の知れないモノは、やっぱり正直なところ気味悪い。