弟、時々恋、のち狼
いくら俗世に疎い我らでも、ラッラが簡単に手に入れられるようなものではないとわかる。
「ね?すごいでしょう!?
って言っても、いただきものなんですけどね」
こちらの疑問を察してか、ちょっと恥ずかしそうに笑う。
「船頭さんたちがね、ぜひお社の賢者様にって」
まぶしいほど真っ直ぐな瞳。
きっと、これをくれたという人たちは、ラッラだったからこそ託したのだろう。
そんな気がする。
「……こんな時だからこそ、お二人に差し上げたいのですって」
「そう。ご苦労だったね」
物盗りに盗られるぐらいなら献上したい。
そんな贈り物も増えている。
ロウは、にっこりと笑うとラッラの頭を柔らかく撫でた。
「本当に。大切にするわ」
嬉しそうな笑顔に、こちらまで幸せな気持ちになる。