弟、時々恋、のち狼

「なぜ?
私はあなたのもの。そして、あなたは私のものだ」


不敵に笑うと、首を傾げ、アタシの顔を覗き込む。

魅惑的な視線。
冷たく冴えた瞳は怖いほどで……。


「気づくのを待つつもりでした。でも、だめだ。あなたは間違えてしまった」


何?

怒りの浮かんだキレイな顔ほど凄みのあるものはない。


「あたなと私は一つだ。あなたは私と結ばれなくてはならない。
そしていずれ、私の子を産む」


…………はい?

何、言ってんの?
なんだかすごいことを言われた気がする。

突飛すぎて理解できない。けど。


「あの……アタシ……ごめんなさいっ」


もしかして。
言い方は変だけど、告白されてるのかも……?

普通に考えたら有り得ないけど。
アタシ相手に。


「ロウはあなたの片割れじゃない。
あなたの片割れはオレだよ、ミイ」


切なげな揺らめき。
なぜか胸が締め付けられた。


「あなたがいなくちゃ、オレは生きていけない」


「……江藤くん……」


--あなたは、誰?


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