弟、時々恋、のち狼
こんなかっこいい人を見たのも初めてなら、男の人とあんなに接近したのも初めて。
それだけでも十分刺激的なのに……子猫がしゃべって、しかもお世話役兼お目付役?
一体どうやったら猫が人間の世話をできるやら……。
絶対、ありえない。
わけがわからなすぎて、頭がクラクラしてくる。
夢ならイイけど……。
腹話術……も、あり得るよね。
もしかして、アタシ、やっぱり逃げた方がイイかも?
「そして、ロゥはミィのオトウト。
あなたがたは、イダイにしてセイなるチカラをウけツぐ……」
ダメだ。
最後まで聞かず、アタシは気力を振り絞ってくるりと後ろを向いた。
と、そのまま一気に駆け出す。
ムリ……あぶなすぎ!