弟、時々恋、のち狼

困ったことに、今日一日中、こんな感じ。

学校につけば離れてくれるだろうと思っていたのに、正反対だった。

校門をくぐったとたん、ツカサはそれでの丁重さをかなぐり捨てた。
豹変というか……言葉こそそんなに荒らくはないものの、態度はもう驚くほど堂に入ったオレサマぶり。
アタシがまるで「自分のもの」ででもあるかのように振る舞っている。誰一人寄せ付けない勢い。


……どうしよう。
絶対、ロウに誤解された。


引きずられるようにして教室に向かいながら、アタシは泣きたい気持ちでいっぱいだった。

せっかくロウと想いあえたのに。

最初の戸惑いや、不安な記憶を超えて。
やっと少しずつ、普通に、幸せを感じられるようになってきたのに。


きっと嫌われた。


古文の先生がお経のように教科書を読むのを聞きながら、アタシは絶望的な気分だった。
教室の中でも廊下でも、みんなの視線が痛い
。ひそひそとささやきあう声は、どう考えても好意的とは言い難かった。
カナちゃんたちでさえ、なんだか妙によそよそしい。

はぁ。

今日は、知らずにため息ばかりがもれる。


ツカサ……。
何者なんだろう。


社の司だとして、でも、この態度は変な気がする。
彼らはいつだって、アタシたちとは一線を画していたから。
アタシやロウにこんなに強い気持ちを向けてくるなんて有り得ないと思う。


なら……一体……。


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